マイケル・ポーターは「模倣困難な活動の連鎖がもたらす戦略的優位性」について説いたが、データ・ドリブン・マーケティングはその重要な構成要素だと本書は主張する。ではマーケティング施策で成果を得るために、各種のデータを分析した後、どんな指標を追っていけばよいだろうか?
データ・ドリブン・マーケティング―――最低限知っておくべき15の指標
- 作者:マーク・ジェフリー
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/04/20
- メディア: 単行本
厳選された指標に集中せよ
本書では、伝統的なマーケティング指標10個に、「新世代マーケティング指標」と著者が呼ぶ5つを加えた15の重要指標が紹介されている。
- ブランド認知率
- お試し
- 解約・離反率
- 顧客満足度(CSAT: Customer Satisfaction)
- オファー応諾率
- 利益
- 正味現在価値(NPV: Net Present Value)
- 内部収益率(IRR: Internal Rate of Return)
- 投資回収期間
- 顧客生涯価値(CLTV: Customer Lifetime Value)
- クリック単価(CPC: Cost per Click)
- トランザクションコンバージョン率(TCR: Transaction Conversion Rate)
- 広告費用対効果(ROAS: Return on Ad Dollars Spent)
- 直帰率
- 口コミ増幅係数(WOM: Word of Mouth、ソーシャルメディア・リーチ)
とりわけ、投資収益率(ROI: Return on Investment)には「時間」の観点が欠けているので、投資回収期間を盛り込んだマーケティング投資収益率(ROMI)を使え、という指摘は重要だろう。本書全体を通して、投資の目的と実践への道筋が体系的に整理されており、マーケティング実務の見通しが明確になった。
マーケティングにとって大切なのは「どうしてこの2つのグループの解約率に差があるのか?」を考えることだ。*1
その他トピック
- 「データを提供することで、顧客はどのような価値を得られるか?」を絶えず考えること。
- 研修予算をケチらず、企業文化をつくる。
- アトリビューション分析の重要性。
- コントロールするために測定せよ。
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*1:『データ・ドリブン・マーケティング』第9章より