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【書評】福田晃仁『DMPのしくみとオーディエンスデータの活用』

『データ・ドリブン・マーケティング』という本が一時期話題になったが、今や「データ・ドリブン」は経営の課題そのものになっている。その際、すべての前提となるデータ基盤を構成するのが「DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)」だ。

オーディエンスデータを統合し、顧客を深く理解する


本書はDMPの概要をざっくり理解するには最適な一冊だ。DMPは大別すると2つあり、「データセラー(パブリック)DMP」は新規顧客獲得、「プライベートDMP」は自社顧客のLTV最大化のためのプラットフォームと整理できる。そのうえで、オーディエンスデータを統合するための仕組みである「CookieSync」と「名寄せ」の技術的説明が第2章でなされる。


第3、4章ではデータセラーDMPとプライベートDMPそれぞれの使いどころが解説される。DMPの具体的な製品には、トレジャーデータやRtoaster、Intimate Merger(インティメート・マージャー)、AudienceOne(オーディエンスワン)、Oracle BlueKai等々、有名どころだけでも多くのソリューションがあり、製品ごとのポジショニングも結構ちがうので混乱するのだが、本書のマッピング図は上手く全体を見通せるかたちで整理されていてありがたい。


DMP種別マップ
DMP製品群マップ



加えて、個人的には付録の「セグメンテーションについて」の章が一番刺さった。本来「セグメンテーション」の設計はマーケターにとって要ともいえる仕事のはずだが、きちんと抽出できていないケースが多く、施策先行に陥っていると著者は警告する。


著者が主張するその原因は2つある。

  1. データ分析の手法として、数理的な「統計解析」とBIなどチャート分類による「アナログ解析」の2側面があるが、日本においては「データサイエンス=統計解析(前者)」のみ、という誤解があるため。
  2. 無数にある分析軸のなかから意味のあるものを選び出すための仮説思考と、分析軸自体を開発するスキルが欠如しているため。


いずれも「なるほど」と腑に落ちた。アドテク領域の担当者はもちろん、データ・ドリブン・マーケティングを目指すマーケターは読んでおいて損はない一冊。

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