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ドラえもんと哲学書――異文化接触@台湾出張 その1

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 トラベルブック台湾支社の立ち上げ準備で現地まで出張に来ています。台湾はいま梅雨シーズン真っ盛りで高温多湿の蒸し暑い毎日。晴れ間がのぞけば猛烈な日差しが容赦なく肌を焼く、なかなかタフな気候条件です。それでも食べ物はおいしいし、暑さに文句を垂れながら街を歩けば、不思議と元気な気持ちが湧いてきます。

 

 台湾には過去何度か旅行で来ていますが、3〜4週間の長期滞在は初めてのこと。言葉が通じなくても意外となんとかなってしまう台湾(とくに台北界隈)ではありますが、今回ばかりは多少なり中国語を身に着けたいと思い、すこしずつですが勉強を始めました。

 

travelbook.com.tw

 

 今月始めにオープンしたトラベルブック台湾版サイト「TravelBook 旅人網」は、台湾人や中国人のスタッフが中心となって運営してくれています。また社長の長田さんは上海の復旦大学の卒業生で、中国語はペラペラ。

 という風に、トラベルブック社内には中華圏の言語や文化に強い人たちが集まっていて、語学学習についても色々とアドバイスをもらえるわけですが、そんな社長に勧められた「教材」が中国語版のマンガ『ドラえもん』。日本人に馴染みのあるストーリーで基本的な話の筋は決まっており、セリフの量も多すぎず少なすぎず。それでいて飽きずに読める。というのがおすすめのポイントだとか。

 

 私は素直にも近所のコンビニ数軒を回ってみました。しかし残念ながら『ドラえもん』には出会えません。そこで台湾で有名な大型本屋「誠品書店」へ行ってみることに。すると無事、一巻だけあった『哆啦A夢』をゲットすることができました。あと、ついでのつもりで立ち寄った哲学書の棚で一冊の本に惹かれてしまい、思わずこちらも購入(トップの写真左)。もちろん全部中国語。“読めない本”を買ってしまうというのは、なんとも不思議な体験です。

 

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 もうね。この目次を見てテンション上がっちゃったわけです。「尼采」とか書かれても、中国語が分からない身には「?」なのですが、「超越善悪」「道徳系譜學」を唱えた人物らしい。ああ、ニーチェかなと。

 「純粋理性批判」の「康徳」と来れば疑いなくカントだし、「亞里斯多德」なんかはこうなると名前だけでも分かりやすい(そう、アリストテレスですね)。このあたりで、どうやらこの本は著名な哲学者を紹介した入門書らしいことも分かってきます。400ページ近い本で400元(現在1台湾元=3.3円なので約1300円)という定価の安さも魅力でした。いつかの自分はきっと読めるさ、という気概。

 

台湾にはない「再販制度

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 しかも、です。聡明な読者はお気づきかもしれませんが、この本の帯には「79折」というシールが貼ってありました。中華圏では「8折」などと書いて、「定価の8割で販売=2割引」という割引価格を表わすのですが、その発想でいくとこの本は「21%引き」で買えそうだぞ、と気づくわけですね。

結構な割引率で嬉しい! けど、なぜに?

 

motto-taiwan.com

 

 そこで調べてみると、上記ブログにその理由が解説されていました。

 

台湾の一般書の定価は、250〜350元あたりが多いです。 日本と大きく違うのは、新刊発売後の1か月は「79折」(21%オフ)になること。 発売直前から発売後約1か月は宣伝・販売の集中時期にあたり、実際の店舗とネット書店はほぼ同じ割引率で買うことができます。

 

本好きな人や好きな作家の作品を常にアンテナを立てている読者は、気になる新刊があれば、本屋で買う人が多いようです。 既刊本の多くは割引無しか10%オフくらいしかありません。 既刊と新刊が同じように店頭に平積みされるわけですから、新刊が圧倒的に買い得感を与える、ということになります。

 

 この本の発行時期を確認すると、まさに今月発売になったばかり。新刊を割引して売っているとは驚きです。また先の記事によれば、台湾では書店ごとに本の価格がちがうことは普通で、とくに大学近くのお店では学生・教員向けに3割引で販売、とかいうことも珍しくないのだとか。大学生協を除けば、全国ほぼ一律の価格で売っている日本の書籍事情とのちがいが鮮明で、とても面白いなと思った次第です。こんど台湾の大学を観光するときは本屋にも寄ってみたいと思います。

 

 さて肝心の中国語ですが、「レジ袋いりません」がスムーズに言えるようになり、成長著しい毎日を送っています。やったね!

 

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